猫の水腎症の手術ってどんな手術?|猫の水腎症の手術について解説
水腎症という病気を聞いたことはありますか?
猫の病気といえば、慢性腎臓病が多いことで知られています。
しかし実は、水腎症という病気も猫にとっては珍しくない病気です。
愛猫が水腎症と診断されたとき、
- 水腎症ってどんな病気?
- 水腎症の治療には手術をするしかないの?
- 水腎症の手術ってどんな手術?
などの疑問が浮かぶのではないでしょうか。
今回は、猫の水腎症の治療として行われる手術について詳しく解説していきます。
ぜひこの記事を最後まで読んでいただき、水腎症の手術についての理解を深めましょう。

水腎症とは
猫の水腎症とは、尿が腎臓から排泄されず腎臓の中に溜まっていってしまう病気です。
腎臓の機能は、体の中を循環してきた血液から必要なものを残し不要なものだけを尿として排泄することです。
腎臓で作られた尿は、尿管を通って膀胱へと向かい体外へ排泄されます。
猫の尿管は非常に細く、小さな結石でも詰まりの原因となりやすいです。
尿管が詰まり尿が排泄されなくなると、逃げ場を失った尿は腎臓に溜まっていきます。
こうして、腎臓が風船のようにだんだん膨らんでいくのが水腎症です。
尿管に詰まるのは、ほとんどの場合結石で、尿中のミネラルが過剰になることで発生します。
水腎症の症状
水腎症の初期症状は、非常にわかりづらいです。
それは猫の腎臓は二つあるので片方の腎臓が水腎症になっていても、もう片方の腎臓が正常に働いていると、症状が出にくいためです。
しかし、片方の腎臓が水腎症になると、残った腎臓に大きな負荷がかかっていきます。
残った腎臓の負荷が大きくなり機能が低下し始めたときに初めて症状が出てくるケースが多いです。
このような状態になると、
- 食欲・活動性の低下
- 体重減少
- 嘔吐
などの症状が出ます。
水腎症の治療には手術が必要?
猫の水腎症の治療には、ほとんどの場合で手術が必要です。
尿管が部分的に閉塞している場合には、点滴などの内科療法を行い詰まっている結石を膀胱に押し流すことを期待する場合もあります。
しかし完全閉塞の場合、点滴を行い尿の量を増やすことは腎臓にとって負担が大きく、リスクが高いです。
尿管の完全閉塞による水腎症の場合は、尿管に詰まっている結石をなるべく早く取り除かなければ、腎臓の機能はどんどん悪化していきます。
水腎症を放置すると、腎臓が萎縮したり、感染症をおこしたりすることもあります。
腎臓の感染症は命に関わることも多く、機能の低下し切った腎臓は元の状態には戻りません。
そのため、一刻も早く手術により物理的に尿管の詰まりを取る手術を行う必要があります。

水腎症の手術
水腎症の治療として行われる手術には、いくつかの方法があります。
手術の目的は腎臓からの尿の排泄経路を確保することです。
これからご紹介する術式は、両方同時に行われることが多いです。
SUBシステム手術
SUB(Subcutaneous Ureteral Bypass)システムは、腎臓と膀胱をチューブでつなぎ、人工的に尿の通り道を作る手術です。
尿管が閉塞している場合でも、尿を腎臓から膀胱へ直接流すことができるため、現在広く行われている治療法のひとつです。
チューブの一部は皮膚の下に出ているため、その部分で結石を洗浄することができます。
そのため、再度結石が尿管に詰まるという再閉塞を防ぐことが可能です。
体内に人工的な管を設置することになるので感染症のリスクや、尿が漏れ出してしまうリスクはあります。
尿管切開術
尿管切開術は、結石の詰まっている部分の尿管を切り開き、詰まっている結石を除去する手術です。
最もシンプルな方法で、術後の管理もSUBシステムに比べると、難しくありません。
尿管結石は、詰まったままにしておくと、痛みの原因になることもあるため、摘出しておいた方が良いです。
この手術は、猫の細い尿管を縫合する必要があるので非常に細かい手術です。
正常でも非常に細い猫の尿管を縫合した部分は、どうしても少し細くなってしまいます。
この部分は再閉塞や尿が漏れ出してしまう等のリスクが高まる点がこの手術のデメリットです。
尿管膀胱新吻合術
尿管膀胱新吻合術は、閉塞している尿管の一部を切除し、尿管を膀胱へ新しくつなぎ直す手術です。
尿管の下部(膀胱に近い部分)で閉塞が起きている場合に適応となることがあります。
閉塞部位を避けて新たな尿の通り道を作ることができるため、根本的な改善が期待できる術式です。
一方で、
- 吻合部の狭窄
- 尿漏れ
などのリスクがあり、術式の選択には慎重な判断が必要です。

水腎症の猫のご家族にできること
愛猫に水腎症の手術をすると聞くと、ご家族の方は術後の生活などについても不安でいっぱいになりますよね。
実際水腎症の手術を行なった猫の術後の生活では、ご家族の全面的な協力がとても重要です。
定期的な通院
水腎症の術後は、定期的な通院が必須です。
術後すぐは、毎日〜数日に1回、様子を見せていただくことが多いです。
水腎症の手術は、どの術式を行なっても大きな手術です。
通院していただいて、
- 傷口やチューブは問題ないか
- 食欲や元気はもどっているか
- 食事はしっかり取れているか
- 腎臓の機能は戻っているか
などご家族と一緒に確認したいことがたくさんあります。
猫の性格やご家族の生活スタイルから、難しい場合もありますが、SUBシステムを設置した場合には特に、チューブの定期的なケアが必要です。
生活環境の整備
水腎症の手術を行なった猫では、しっかりと環境整備も行う必要があります。
特に水腎症の原因が結石症の場合は、飲水量を確保できる環境にしてあげましょう。
結石は、尿の成分が濃いほど作られやすくなります。
水をしっかり飲んで、尿をうすい状態に保つことが、結石の再発を防ぐために重要です。
また、飲水量が増えると尿量が増えるので摂取した分をきちんと排泄できるようにしてあげることも大切です。
トイレの数や大きさなど、猫にとって快適な状態にしてあげましょう。

療法食の導入
水腎症の原因のひとつである結石は非常に再発リスクの高い病気です。
結石の種類によっては食事により結石を溶かしたり、再発を防ぐことができるかもしれません。
手術で摘出した結石の成分がわかったら、食事を結石の再発を起きにくくする療法食に変更することを検討しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は猫の水腎症の手術について詳しく解説しました。
愛猫が水腎症という診断を受けると、ご家族はどうしてあげたらいいか戸惑いますよね。
水腎症の手術は術後の管理も長期にわたるので、獣医師とご家族で二人三脚での管理が非常に重要です。
当院には、猫の腎臓病について専門的な知識と高度な技術をもった獣医師が在籍しています。
愛猫の腎臓病についてお悩みのある飼い主さまは是非当院までご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q.猫の水腎症は手術をしないと治りませんか?
A.猫の水腎症は、多くの場合手術をしないと治りません。
とくに尿管が完全に詰まっている場合には手術が必要になることが多いです。
部分的な閉塞であれば内科治療で改善する可能性もありますが、完全閉塞では早急な外科的対応が重要です。
Q.猫の水腎症の手術にはどのような方法がありますか?
A.猫の水腎症の手術には、人工的に尿の通り道を作るSUBシステム手術や、詰まった結石を取り除く尿管切開術、尿管を膀胱へ繋ぎ直す尿管膀胱新吻合術があります。
それぞれにメリットやリスクがあり、状態に応じて選択されます。
Q.猫の水腎症の手術後はどのようなケアが必要ですか?
A.猫の水腎症の手術後は、定期的な通院やチューブの管理、食事や飲水環境の見直しが重要です。
とくに結石が原因の場合は再発予防のために療法食の導入や生活環境の整備が必要になります。
熊本県玉名市六田
あらたま動物医療センター


