犬の乳腺腫瘍ステージⅢは完治できる?特徴・治療・予後まで詳しく解説

「しこりを見つけたけど、これって大丈夫?」
「乳腺腫瘍といわれたけど治るの?」
「ステージⅢって言われたけど、もう手遅れなの?」
というような悩みを持つ飼い主様もいらっしゃると思います。
犬の乳腺腫瘍は、主に避妊手術をしていない雌犬に多く見られる腫瘍です。
犬の腫瘍の中でも発生頻度が高い疾患のため、身近で経験のある方もいらっしゃるかもしれません。
乳腺腫瘍は進行度によってステージが5段階に分けられ、治療法の選択の目安となります。
その中でもステージⅢは中等度に進行した段階であり、適切な治療を行えば良好な予後が期待できる腫瘍です。

今回は、犬の乳腺腫瘍ステージⅢの特徴や治療法、予後について詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の乳腺腫瘍のステージⅢについて参考にしてください。

お腹を出して寝そべる犬

犬の乳腺腫瘍とは?

犬の乳腺腫瘍は、避妊手術を受けていない雌犬に多くみられ、特に8歳以上で発症が増える傾向です。
犬には左右5対の乳腺があり、犬の乳腺が女性ホルモンの影響をうけることで、腫瘍化し硬いしこりや結節としてあらわれます。

一般的に、犬の乳腺腫瘍は約50%が良性、約50%が悪性です。
悪性腫瘍の中にも、転移しにくいものと転移・再発リスクが高いものが存在します。

また、しこりが小さいうちは良性であることが多く、ほとんどの場合は手術によって根治が可能なことも多いです。
しかし、腫瘍が大きくなるにつれて悪性の割合が高くなる傾向があります。
乳腺腫瘍は初回発情前に避妊手術を行えば約0.5%、2回目の発情前に避妊手術を行った場合でも約8%まで発症リスクが抑えられるとされています。

手術痕を見せる犬

乳腺腫瘍のステージ分類とは?

犬の乳腺腫瘍は、病気の進行度によって以下の3要素(TNM分類)を基準にステージが分けられます。

  • 腫瘍の大きさ:T分類
  • リンパ節転移の有無:N分類
  • 遠隔転移(肺や肝臓など)の有無:M分類

これらのTNM分類に基づき、ステージⅠからステージⅤの5段階に分類されます。
このステージ分類に基づいて治療方針や予後が決められていきます。
今回は乳腺腫瘍のステージのなかで、中等度の分類になるステージⅢについて詳しく解説していきましょう。

犬の乳腺腫瘍ステージⅢはどんな状態?

犬の乳腺腫瘍ステージⅢは以下の条件を満たすものを指します。

  • 腫瘍の大きさが5cm以上(T3)
  • リンパ節転移なし(N0)
  • 遠隔転移なし(M0)

つまり犬の乳腺腫瘍ステージⅢは腫瘍は大きく進行したものですが、リンパ節にも遠くの臓器(肺や肝臓など)にも転移していない状態です。
腫瘍が5cm以上と大きいため、悪性である可能性も否定できず慎重な判断が必要です。
そのため、基本的には外科手術による切除が第一選択として検討されます。
転移の可能性がない場合、外科的に完全切除が可能な場合は、根治の可能性はあるといわれています。

乳腺腫瘍ステージⅢの症状とは?

ステージⅢでは、腫瘍が5cm以上と大きく、肉眼でも明らかな大きさのしこりとして認識されることが多いです。
腫瘍が大きくなると、皮膚が張ったようになったり、しこりの表面が破れて出血したり潰瘍が生じたりすることがあります。
これを「自壊」と呼び、進行した腫瘍でみられる特徴のひとつです。
また、しこりに違和感を感じた犬がその部分をなめることで、細菌感染や炎症が起こり、痛みを伴う場合もあります。

芝生を走る犬

乳腺腫瘍ステージⅢの治療方法は?

ステージⅢの場合、外科手術による腫瘍の切除が第一選択とされます。
主な術式は以下の通りです。

  • 部分切除
  • 単一乳腺切除
  • 片側乳腺全摘出
  • 両側乳腺全摘出

ステージⅢのように大きな腫瘍の場合、悪性腫瘍の可能性も高く考慮しなければいけません。
悪性腫瘍の場合、転移のリスクも高いため外科手術のみでの治療だと再発する可能性があります。
そのため、病理検査の結果や転移リスクに応じて、術後の補助療法として抗がん剤治療が検討されます。
また手術で完全に取りきれなかった場合や腫瘍が大きすぎて手術が難しい場合に放射線療法を用いることもあるでしょう。
乳腺腫瘍の手術を行う場合には、避妊手術(子宮卵巣摘出手術)をしていない場合、女性ホルモンの影響を強く受けるため再発予防として避妊手術を行うことをおすすめします。

犬の乳腺腫瘍ステージⅢの術後ケアと予後

ステージⅢの悪性腫瘍では、腫瘍の性質や転移の有無、治療内容によって予後は大きく異なります。
一般的にステージⅢでの生存期間は数か月から1年以上と幅があります。

良性腫瘍の場合は、外科的切除により根治することが多いです。
一方で、悪性腫瘍では皮膚の自壊や肺・肝臓、リンパ節への転移がみられることがあり、その場合予後が悪くなります。
腫瘍の転移の可能性がある場合は、化学療法が検討されることがあります。
この他にも生活の質(QOL)を維持することを目的として疼痛管理や栄養管理なども重要です。
また再発予防のために、免疫療法や免疫力を上げるサプリメントも併用することがあります。

相談してみてワンの黒板と犬

まとめ

犬の乳腺腫瘍のステージⅢは、腫瘍が5cm以上と見た目にも非常に大きな腫瘍です。
基本治療は外科手術で、良性腫瘍では根治が期待できます。
また、悪性腫瘍でも適切な治療により予後の改善が期待される場合があります。
できるだけ腫瘍が小さいうちに早期発見・治療を行うことで、予後の改善につながるため日頃からの定期的な健康チェックが大切です。

当院では、乳腺腫瘍などの外科手術に力をいれています。
胸にしこりがあるなど気になる症状がみられた場合は、ぜひ一度当院にご相談ください。

よくあるご質問(Q&A)

Q.犬の乳腺腫瘍ステージⅢとはどのような状態ですか?

A.犬の乳腺腫瘍ステージⅢは、腫瘍が5cm以上と大きいものの、リンパ節や遠隔臓器への転移が確認されていない状態を指します。
見た目にも分かるしこりになることが多く、悪性の可能性も考慮しながら早めに治療方針を検討することが大切です。

Q.犬の乳腺腫瘍ステージⅢは完治する可能性はありますか?

A.犬の乳腺腫瘍ステージⅢの場合、外科手術で完全に切除できれば完治が期待できるケースがあります。
とくに転移がない状態であれば良好な経過になることもありますが、腫瘍の性質によって予後は大きく異なるため慎重な評価が必要です。

Q.犬の乳腺腫瘍ステージⅢは手術だけで大丈夫ですか?

A.犬の乳腺腫瘍ステージⅢでは手術が基本治療ですが、悪性が疑われる場合は抗がん剤などの追加治療も検討されます。
病理検査の結果や再発リスクに応じて治療方針が決まるため、術後の説明をしっかり受けることが重要です。

熊本県玉名市六田
あらたま動物医療センター