犬の乳腺腫瘍の手術で麻酔は危険?|高齢犬の麻酔リスクと手術の考え方

クッションで横になるトイプードル

「愛犬が乳腺腫瘍と診断され、手術を勧められた」
「高齢だから麻酔に耐えられるのか心配」
「麻酔が怖くて手術を受けるべきか迷っている」
乳腺腫瘍の犬の治療についてこのような不安を感じているかもしれません。
犬の乳腺腫瘍は、中高齢の未避妊犬に多くみられる腫瘍です。
乳腺腫瘍の治療では手術による切除が第一選択となることが多い一方で、発症する年齢が高いことから麻酔のリスクを心配されるケースも多くあります。
しかし、年齢だけを理由に手術を諦める必要はありません。
現在では、術前検査によって全身状態を十分に評価し、その子に合わせた麻酔管理を行うことで、安全性を高めながら手術を行える場合も多いです。

今回は、犬の乳腺腫瘍における麻酔リスクや、手術を検討する際に知っておきたいポイントについて解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の乳腺腫瘍の治療を決める際の参考にしてください。

犬の乳腺腫瘍はなぜ麻酔が必要なの?

犬の乳腺腫瘍では、手術によって腫瘍を切除することが基本的な治療です。
乳腺にできるしこりには良性と悪性がありますが、見た目や触った感触だけで区別することは困難です。
そのため、腫瘍を切除して病理検査を行い、正確な診断をつけることが重要になります。

また、乳腺腫瘍は複数の乳腺に発生していることも多く

  • 大きさ
  • 発生部位

によって切除方法も異なります。
どの切除方法でも痛みを伴うため、手術の場合には全身麻酔が必要です。

犬の乳腺腫瘍は麻酔が怖いから様子を見てもいい?

乳腺腫瘍の手術の麻酔への不安から「しこりはあるけれど様子を見よう」と考えるかもしれません。
しかし、乳腺腫瘍では放置することによるリスクも考えなければなりません。

悪性腫瘍であれば、肺やリンパ節などへ転移する可能性があります。
また、腫瘍が大きくなると皮膚が破れて潰瘍を形成し、出血や感染を起こすこともあります。
さらに、腫瘍が大きくなるほど切除範囲が広くなり、手術時間が長くなる場合があります。
結果として、麻酔時間も長くなり、体への負担が大きくなること多いです。

そのため、麻酔のリスクだけではなく、乳腺腫瘍を放置するリスクも踏まえて治療方針を考えることが大切です。

高齢犬は乳腺腫瘍の手術で麻酔リスクが高くなる?

「もう高齢だから麻酔は危険なのでは」と心配されることがありますが、年齢だけで麻酔の可否が決まるわけではありません。
もちろん、高齢になると心臓や肝臓などの機能が低下していることがあり、若い犬より麻酔に注意が必要になる場合があります。
しかし、実際に麻酔リスクを左右するのは、年齢そのものよりも全身状態です。

例えば

  • 心臓病があるか
  • 腎臓や肝臓の機能に問題がないか
  • 呼吸器に異常がないか
  • 貧血や脱水がないか

などを総合的に評価して麻酔方法を決定します。
高齢犬でも持病が安定しており、全身状態が良好であれば、安全に麻酔を行えるケースは多いです。

野原で座る白い犬

犬の乳腺腫瘍ではどのように麻酔リスクを評価する?

乳腺腫瘍の手術を検討する際に、まず全身状態を詳しく確認してもらいましょう。
一般的に手術前には次のような検査を行います。

  • 血液検査
  • 胸部レントゲン検査
  • 腹部超音波検査
  • 必要に応じた心臓超音波検査

これらの検査で、麻酔に耐えられる状態かどうかだけでなく、乳腺腫瘍の転移がないかなどが確認可能です。
検査結果によっては、麻酔方法を変更したり先に持病の治療を行ったりすることで、安全性を高められることもあります。

犬の乳腺腫瘍の手術ではどのように麻酔管理を行う?

乳腺腫瘍の手術では、腫瘍の数や切除範囲によって手術時間が変わるものです。
そのため、動物の状態だけでなく、予定している手術内容も考慮して麻酔計画が組み立てられます。

手術中は

  • 心拍数
  • 血圧
  • 呼吸状態
  • 酸素飽和度
  • 呼気中二酸化炭素濃度
  • 体温

などが継続的にモニターされることが一般的です。
異常があれば、獣医師が麻酔薬の量を調整したり点滴や薬剤を使用したりして調整を行います。
このように、麻酔は「眠らせるだけ」ではなく、全身状態を細かく管理しながら安全に手術を進めるための重要な医療です。

カーペットで横になる柴犬

まとめ

犬の乳腺腫瘍では、手術が第一選択となることが多く、そのためには全身麻酔が必要です。
高齢犬では麻酔への不安を感じる飼い主様も少なくありませんが、実際の麻酔リスクは年齢だけで決まるものではありません。
術前検査によって全身状態をしっかり評価し、その子に合わせた麻酔管理を進めてもらうことが大切です。
また、麻酔が怖いからといって乳腺腫瘍を放置すると、腫瘍の増大や転移などによって治療が難しくなる場合もあります。
乳腺にしこりを見つけた際は、「高齢だから」と自己判断で様子を見るのではなく、早めに動物病院へ相談し、適切な治療のタイミングを検討しましょう。

当院では犬の乳腺腫瘍を含め多数の外科手術の実績があります。
犬の腫瘍の手術について悩みがある場合はお気軽にご相談ください。

よくあるご質問(Q&A)

Q.高齢犬でも乳腺腫瘍の手術で全身麻酔を受けることはできますか?

A.高齢犬でも全身状態が良好であれば麻酔を行えるケースは多くあります。
犬の乳腺腫瘍の手術では、年齢だけではなく、心臓や腎臓、肝臓の状態などを総合的に評価したうえで麻酔方法を決定されます。

Q.犬の乳腺腫瘍は麻酔が心配なので様子を見ても大丈夫ですか?

A.犬の乳腺腫瘍は放置すると転移したり、腫瘍が大きくなって出血や感染を起こしたりすることがあるため様子を見るのはお勧めできません。
麻酔のリスクだけでなく、腫瘍を放置するリスクも考えることが大切です。
治療のタイミングについては、早めに動物病院で相談しましょう。

Q.犬の乳腺腫瘍の手術前にはどのような検査を行いますか?

A.犬の乳腺腫瘍の手術前には、血液検査や胸部レントゲン検査、腹部超音波検査などを行うことが一般的です。
必要に応じて心臓超音波検査も実施し、麻酔に耐えられる状態かどうかや腫瘍の転移の有無を確認したうえで手術計画を立てます。

熊本県玉名市六田
あらたま動物医療センター