犬の乳腺腫瘍ステージⅣってどんな状態?|犬の乳腺腫瘍について解説

愛犬が乳腺腫瘍のステージⅣであるという診断を受けると、飼い主様は大きなショックを受けられますよね。
乳腺腫瘍のステージⅣとは

  • どのような状態なのか
  • 治療はできるのか
  • 家では何に気をつけるのか

など、飼い主様が知りたいことはたくさん浮かぶはずです。
犬の乳腺腫瘍のステージⅣは比較的病気が進行した状態ではありますが、治療の選択肢がなくなるわけではありません。

今回はそんな犬の乳腺腫瘍、特にステージⅣの段階について詳しく解説します。
愛犬にとってベストな選択ができるよう、この記事を最後まで読んでいただき、治療の参考にしていただければ幸いです。

床に寝そべる犬

犬の乳腺腫瘍ステージⅣとは

犬の乳腺腫瘍は、中高齢の雌犬の乳腺にできる腫瘍です。
犬の乳腺腫瘍は、およそ半数が良性で、もう半数が悪性であると言われています。
また、避妊手術を実施するのが遅くなった犬や避妊手術を行っていない雌犬での発生率が高いのが特徴です。
犬の乳腺腫瘍のステージは、病気の進行度合を示すものであり、

  • 腫瘍の大きさ
  • 近くのリンパ節への転移の有無
  • 遠くの臓器への転移の有無

によってステージⅠ〜Ⅴの5段階に分類されます。
腫瘍は病態が進行するにつれて、リンパ管や血管を通って腫瘍細胞が全身の臓器へ広がっていきます。
これがいわゆる「転移」です。
犬の乳腺腫瘍の中でもステージⅣは、「腫瘍の大きさが5cm以上でリンパ節への転移はあるが遠くの臓器への転移はない」という状態を指します。

乳腺腫瘍ステージⅣの治療

犬の乳腺腫瘍の治療の第一選択は、外科手術です。
犬に発生する乳腺腫瘍は、約半数が良性と言われています。
しかし、良性腫瘍であっても長期間放置すると、悪性に変わることもあります。
そのため、乳腺腫瘍は良性でも悪性でも、手術で取り除かなければいけません。
乳腺腫瘍を摘出する手術には

  • 腫瘍のみを摘出する手術
  • 腫瘍がある乳腺ごと摘出する手術
  • 腫瘍がある乳腺とその付近の乳腺をまとめて摘出する手術
  • 左右の乳腺のうち腫瘍がある乳腺のある側をすべて摘出する手術

と、摘出する範囲によって4種類あります。

乳腺腫瘍ステージⅣでは、腫瘍を摘出する手術と合わせて、転移が認められたリンパ節を摘出する手術も行うことが必要です。
どの術式を選択するかは、犬の状態や手術によって何を期待するかを飼い主様と相談して決定します。
片側の乳腺をすべて切除する手術は、再発の可能性を大幅に下げることができるのがメリットです。
しかし、犬のおなかの皮膚を大きく切除するため、侵襲性が高く強い痛みを伴います。
一方で、犬の年齢や持病を考慮して「腫瘍が大きくなりすぎて皮膚を突き破っている」「腫瘍が床にこすれている」といった直面している問題への対処を優先したいという場合には、腫瘍を摘出するのみの手術を選択することも。
このように乳腺腫瘍の治療として行う手術は、その犬の健康状態やご家族の希望に合わせてベストな治療法を選択していくことになります。

顎をつけて上目遣いする犬

乳腺腫瘍の愛犬にできるケア

愛犬が乳腺腫瘍のステージⅣと診断され、これから治療が始まるという時や切除手術の後、飼い主様が愛犬のためにできることは何があるのでしょうか。
乳腺腫瘍ステージⅣと診断された犬の飼い主様に行っていただきたいケアについてご紹介します。

適正体重を維持する

乳腺腫瘍を構成する細胞は、正常な細胞に比べ非常に多くのエネルギーを消費します。
乳腺腫瘍ステージⅣを抱える犬の体は、痛みにより食欲が低下していることもあり、普段より多くのエネルギーを摂取しなければ、体重が減少してしまいます。
体重が減少し痩せてしまうと、免疫力が低下し腫瘍はさらに進行していくため注意が必要です。
愛犬の食欲が低下している場合や体重減少がある場合には、いつもの食事にトッピングを加えたり、温めて香りを立たせたりして、栄養を取るように心がけましょう。

一方で愛犬が肥満の状態である場合は、乳腺腫瘍の摘出手術のリスクになります。
肥満である場合には、獣医師の相談しながら適度なダイエットを行うことも大切です。

痛みのサインを見逃さない

乳腺腫瘍ステージⅣというのは、病気がある程度進行した状態で、痛みを抱えている犬も少なくありません。
犬は痛みを感じていても、はっきりとした行動変化を見せない動物です。
犬は痛みを感じているとき

  • 体を触ると怒る
  • じっとしていて動かない・そわそわと動き回る
  • ハアハアと浅い呼吸をする

などのサインが出ることがあります。
犬が痛みを感じている場合には、痛み止めを使用することができます。
痛み止めを使用することで、愛犬の体力を温存し、少しでも穏やかに過ごせる可能性が高くなるでしょう。
「いつもと違うな」と感じたら、早めに獣医師へご相談ください。

快適な環境づくりをする

乳腺腫瘍の手術直後や闘病中は、犬の体力が消耗し免疫力が低下している状態です。
このような状態のときに強いストレスを受けると、傷口から感染症を起こしたり、腫瘍が拡大するなどのリスクがあります。
少しでも体力を温存するために、治療前後はできるだけストレスのない穏やかな環境を整えてあげましょう。
室内の温度や湿度などにも配慮し、愛犬にとって心地よい環境を保てるようこまめに調整してあげることも大切です。

ベッドで眠るオムツをつけた犬

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は犬の乳腺腫瘍ステージⅣについて詳しく解説しました。
愛犬が乳腺腫瘍の進行した状態であると診断されると、飼い主様は治療について大きな決断をしなければいけません。
そのためには愛犬の性格や日常生活をよく知る飼い主様と、腫瘍の進行度や全身の健康状態を適切に判断できる獣医師がしっかりと話し合う必要があります。

当院では飼い主様が後悔のない選択をできるようコミュニケーションをしっかりと取りながら治療を行います。
愛犬の乳腺腫瘍でお悩みの方はぜひ当院までご相談ください。

よくあるご質問(Q&A)

Q.犬の乳腺腫瘍ステージⅣでは手術が必要ですか?

A.犬の乳腺腫瘍のステージⅣでは多くの場合で手術が治療の第一選択です。
ステージⅣではリンパ節への転移が認められますが、遠隔転移がないため、乳腺腫瘍と転移したリンパ節を切除することで病気の進行を抑えられる可能性があります。
ただし、年齢や持病、全身状態によっては手術内容を調整したり、症状の改善を目的とした手術を選択したりすることもあります。

Q.乳腺腫瘍ステージⅣでは乳腺をすべて切除しなければいけませんか?

A.乳腺腫瘍のステージⅣでは乳腺を全て切除するとは限りません。
手術の範囲は腫瘍の広がりや犬の体調、ご家族が希望される治療方針によって異なります。
腫瘍のみを切除する場合もあれば、片側の乳腺をまとめて切除する場合もあります。愛犬にとって最適な方法を獣医師と相談しながら決めることが大切です。

Q.自宅ではどのようなことに気をつければよいですか?

A.自宅では食欲や体重の変化、腫瘍からの出血や腫れ、痛みのサインなどを日頃からよく観察しましょう。
また、治療中や手術後は体力を消耗しやすいため、十分な栄養管理とストレスの少ない生活環境を整えることも大切です。
少しでも普段と違う様子が見られた場合は、早めに動物病院へご相談ください。

熊本県玉名市六田
あらたま動物医療センター