猫の扁平上皮癌が口にできたら?原因や治療法、自宅ケアまで解説

「愛猫の口に扁平上皮癌があると言われて、不安を感じている」
「扁平上皮癌がどのような病気なのか、あらためて知りたい」
「治療や今後の見通しについて知りたい」
飼い主様は、愛猫が扁平上皮癌と診断されたことに大きな不安を感じることもあるかもしれません。
猫の扁平上皮癌とは、口の中の粘膜をつくる細胞が腫瘍化した悪性腫瘍で、猫の口にできる腫瘍の中でも特に多くみられるタイプです。
猫の扁平上皮癌は、見つかった時期や場所によって治療の選択肢が変わるため、状態に応じた方針を獣医師と相談しながら決めていくことになります。
本記事では、猫の扁平上皮癌が口にできたときの症状や原因、治療法についてわかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛猫とのこれからを考える助けにしていただければ幸いです。
猫の扁平上皮癌とは?口にできる?

猫の扁平上皮癌は、猫の口にできる腫瘍の中で特に多くみられるタイプの一つです。
ここでは、猫の扁平上皮癌がどのような病気かについて整理していきます。
猫の扁平上皮癌はどのような病気か
猫の扁平上皮癌とは、皮膚や粘膜をつくる細胞が腫瘍化した悪性腫瘍です。
発生する部位は、日光に当たりやすい耳や鼻先などの皮膚から、口の中の粘膜までさまざまです。
中でも口にできる扁平上皮癌は、猫の口腔内腫瘍のうち特に多くみられるタイプとされています。
周囲の組織に入り込みながら広がりやすい性質があり、発生した部位によって治療の方針も変わってきます。
発症しやすい猫の特徴
猫の扁平上皮癌は、主に高齢の猫で多くみられる病気です。
発症する猫の平均年齢はおよそ14歳前後とされており、シニア期以降の猫でリスクが高まる傾向にあります。
若い猫でも発症する可能性はゼロではないため、猫の年齢にかかわらず、飼い主様は愛猫の口の中の様子を時々確認してあげましょう。
扁平上皮癌が口にできる場合の症状
猫の扁平上皮癌が口にできる場合の症状としては、
- 歯ぐきや舌の表面が赤くただれたように見える
- 表面がでこぼこしたしこりや盛り上がりができる
- 触ると出血しやすい
- よだれの量が増える
- 口のにおいが強くなる
といった変化がみられることがあります。
症状が進むと、口の中の痛みから食べ物をかみにくそうにしたり、口をしきりに気にする様子が増えたりすることもあります。
猫の扁平上皮癌が口にできる原因

猫の扁平上皮癌が口にできる原因は、はっきりと一つに特定されているわけではありません。
ここでは、これまでの研究で関連が指摘されている要因を、生活環境と口の状態の2つに分けて紹介します。
生活環境に関する要因
猫の扁平上皮癌の原因については、まだ研究の途上にあり、確立した結論は出ていません。
これまでの研究では、生活環境に関する要因として、
- ノミ取り首輪の使用
- 缶詰を中心とした食生活
- 家族の喫煙などによる受動喫煙
との関連を指摘する報告があります。
ただし、これらは限られた研究による報告にとどまっており、現時点で確立した知見とまでは言えないのが実情です。
口の状態に関する要因
口にできる扁平上皮癌は、一つの要因だけで起こるものではなく、複数の要因が積み重なって発症に関わっていると考えられています。
猫の扁平上皮癌と関連があるとされる口の状態の要因としては、
- 慢性的な歯周病
- 繰り返す口内炎
- パピローマウイルスへの感染
といった報告があります。
しかし、これらの関連についても研究によって結果にばらつきがあり、単独の原因と言い切れるものではありません。
猫の扁平上皮癌が口にできた場合の治療法と自宅ケア

猫の扁平上皮癌が口にできた場合、どの治療を選ぶかだけでなく、治療後に自宅でどのように過ごすかも大切なポイントになります。
ここでは、主な治療の選択肢と、治療後の生活で気をつけたいことについて見ていきましょう。
主な治療の選択肢
猫の扁平上皮癌が口にできた場合の治療方針は、
- できている場所
- 大きさ
- 猫の年齢や体力
など、いくつもの要素をふまえて決まるものです。
口にできた扁平上皮癌の治療の選択肢としては、
- 腫瘍を切除する外科手術
- 放射線をあてて腫瘍を抑える放射線治療
- 抗がん剤を使う化学療法
- 消炎鎮痛薬(NSAIDs)で痛みや炎症を和らげる治療
といった方法です。
消炎鎮痛薬は、炎症を抑えて痛みをやわらげる薬で、猫の扁平上皮癌では「ピロキシカム」がよく使われます。
外科手術(切除術)について
口にできた扁平上皮癌の治療の中でも、外科手術は根治を目指せる可能性がある治療法です。
口の中でも下あごにできた腫瘍は、あごの骨ごと切除する「下顎切除術」の対象になりやすいです。
下顎切除術は、口にできた扁平上皮癌の治療の中でも、術後に比較的長期間再発なく過ごせる治療法とされています。
下あごは上あごに比べて骨が丈夫で血流も豊富なため、切除後の傷が治りやすい部位です。
手術後は、あごの形が変わることで食べ方に変化が出ることもありますが、多くの猫にとって新しい食べ方に慣れるまでの期間は数週間程度です。
術後は、やわらかいフードへの切り替えや、体重と食欲の変化の記録など、飼い主様によるこまめな対応が治療の助けになります。
どの治療を選ぶかは、その子の状態に合わせて飼い主様と獣医師がよく相談しながら決めていくことになります。
治療後の生活で気をつけること
猫の口にできた扁平上皮癌の治療後は、自宅での過ごし方も見直すタイミングです。
食事や日々のケアで意識したいポイントとしては、
- やわらかく飲み込みやすい形状のフードに切り替える
- 処方された薬は自己判断で量や回数を変えずに続ける
- 口の周りを触られるのを嫌がる様子がないか気にかけておく
- よだれや口臭、出血の変化がないか日々確認する
- 体重や食欲の変化を記録しておく
といった行動が挙げられます。
これらを続けることで、獣医師が治療の効果や猫の状態を把握しやすくなり、次の治療方針を検討する際の助けにもなります。
猫の体に変化が見られたときは、早めに動物病院へ相談しましょう。
まとめ
猫の扁平上皮癌は、口のどこにできたか、どのくらい進行しているかによって、治療の内容や自宅でのケアの方法が変わる病気です。
下あごなど切除しやすい場所であれば、手術によって状態が安定することもあります。
舌や上あごなど切除が難しい場所では、完治よりも痛みをやわらげて穏やかに過ごせることを目指した治療が選ばれます。
毎日の投薬やフードの調整を続けながら愛猫を見守るのは、飼い主様にとって決して簡単なことではありません。
不安になったり迷ったりするのは、ごく自然なことです。
当院は口腔外科診療に力を入れております。
猫の扁平上皮癌のことで気になる点があれば、いつでもお気軽にご相談ください。
よくあるご質問
Q. 猫の口に扁平上皮癌ができるとどのような症状が見られますか?
A. 猫の口に扁平上皮癌ができると、歯ぐきや舌のただれ、しこり、出血、よだれの増加、口臭などが見られることがあります。
進行すると口の痛みによって食べにくそうにしたり、口を気にしたりすることもあります。
Q. 猫の口にできた扁平上皮癌は手術できますか?
A. 猫の口にできた扁平上皮癌は、発生した場所や大きさなどによっては外科手術が可能です。
特に下あごにできた場合は下顎切除術が選択肢となることがありますが、猫の状態に合わせて治療方法を検討します。
Q. 猫の扁平上皮癌の治療後は自宅でどのようなケアが必要ですか?
A. 治療後は、やわらかく飲み込みやすいフードを選び、処方された薬を指示どおりに続けることが大切です。
よだれや口臭、出血、食欲、体重などの変化も確認し、気になる症状があれば早めに動物病院へ相談しましょう。
熊本県玉名市六田
あらたま動物医療センター


